dellblorin日記

袖擦り合うも他生の縁

軽減税率が筋悪なことは政治家も分かっている

消費税増税の画像

消費税増税が近づいてきたのと同時に軽減税率が話題にのぼることが多くなった。軽減税率は消費税の逆進性に対する緩和効果がほとんどないとか、導入していた海外の多くはすでに廃止している等、多くの問題点が指摘されておりネット上では実施すべきでないという意見が多い。

それはその通りだが政治家がそんなことを知らないわけはない。ではなぜ軽減税率を導入しようとするのか。

消費税は来年10%となるが、早晩また増税されるのは間違いない。日本の社会保障費は増え続けて、2040年には190兆円になるという試算もあり、最終的には北欧と同じく20%台まで上がると思う。

だが、数%上げるだけでも大騒ぎだから実現は容易ではない。ではどうするのか。国民が消費税増税を受け入れる何かしらの麻酔が必要になるだろう。

一部の人には軽減税率が筋悪政策だとバレているが、多くの国民は軽減税率に肯定的だ。これはなぜか対象に含まれた新聞社の報道姿勢も影響しているかもしれない。消費税増税の実現には、例え筋悪だと分っていても軽減税率の導入は不可避である、これが政治家の考えであり政治のリアリズムなのだと思う。

だが麻酔といっても何でもいいわけではない。必ずいつか止めることが出来なければならないからだ。仮に麻酔政策が2%の減収効果をもたらすとすれば、今回の増税は意味がなくなる。そう考えると軽減税率は筋悪どころか好手に思える。

軽減税率は導入当初は喜ばれるだろうが、欧州の事例のように無駄な複雑化など国民生活に混乱を生じさせるだろう。徐々に軽減税率に対する不満が溜まってゆき、一定のラインを超えたあたりで今まで黙っていた各種メディアが叩きだすだろう。そして軽減税率なんて禄でもない政策だった、こんな馬鹿な制度を導入した政権は無能だといった考えが社会一般の共通認識となり、最終的に軽減税率は廃止されるはずだ。

要は政府の考えを想像すると、消費税増税は不可避である。しかし消費税増税は国民の反発が強く容易ではない。そのための麻酔として何らかの負担軽減策が必要。だが増税を無意味にしないため廃止が保証された策でなければならない。その絶好の策が現時点で国民からは好感されていて、且つ欧州の先例から考えていつか廃止となるだろう軽減税率だ。

ただの勘でしかないが、恐らく軽減税率に不満が目立ち始めるのは導入1年後くらいだろう。2年目以降に今までそんなことをおくびにも出さなかったコメンテーター、呼ばれることがなかった識者などが色々なメディアで軽減税率を叩き始める。軽減税率は導入から3年目遂に廃止が決定(一部は残るかも)、こんな流れになるのではないか。勿論、その時に消費税率が元に戻ることはない。

政府が考えているシナリオはこんな感じではないのだろうかと思っている。あくまで個人の妄想に過ぎないが。