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「ルポ 歌舞伎町」を読了。面白かったところ、気になったところをメモしておく。
ホストクラブのお酒の相場
歌舞伎町の或るホストクラブでは、提供する酒は原価7%が基本。7万円で仕入れたら100万円で売る。高級ブランデーとして知られるヘネシー・リシャールは、1本40万円であれば500万円以上で提供する。それでいて開封はさせないし、持ち帰らせもしない。未開封の酒は、別の日に再び売られる。
ホストのバック率と最低保証
ホストのバック率は、客が100万円使った場合、45万円がバックとなる。昔はもっとバック率は低かったが、大手グループの台頭により、プレイヤーファースト(ホスト)の給与体系が広まったという。
歌舞伎町のホストクラブは最低保証があるのがほとんど。例として1日7000円。月25日出勤すれば何もなくとも月収17万5000円となる。
ヤクザのケツ持ち
ホストクラブはヤクザのケツ持ちがあるのが普通。みかじめ料の相場はバーは大体3万円、ホストクラブは5〜10万円。現在は昔ほど歌舞伎町も荒々しくないため、効果があるのかは疑問であり、ケツ持ちのないホストクラブもあるらしい。
ホストとスカウトの結託
ホストとスカウトが結託して女性を食い物にする場合がある。ホストの客に風俗で働こうとしていたり、今の風俗店に不満がある女性がいたら、その情報をスカウトに流してバックを受け取る。
ネットスカウトの実態
今どきの風俗のスカウトは、路上だけでなくネットを使って女性を確保している。Xには顔出ししていない風俗嬢を名乗るアカウントが無数にあり、風俗嬢の日常を面白おかしく綴っている。そういったアカウントにはスカウトが担当風俗嬢にバイトとして運営させているものが多い。さらに、人気アカウントをスカウトが買い取ることもある。買い取っても元の持ち主の風俗嬢にお金を払って運営を頼む。1人で1アカウントに付き月額1万5000円で4つ運営していた風俗嬢もいるという。このようなことをスカウトがさせるのは、そういったアカウントに風俗に興味のある女性からDMが届くからだという。そういう女性を自分のスカウトに紹介すれば、そこからバックが発生する場合がある。
歌舞伎町のスカウトという仕事について
風俗嬢の働き方は「出稼ぎ」と「通い」の2通り。通いは店舗に出勤し、こなした本数だけバックを得る。出稼ぎは短期(10日間など)で地方(といっても都内近郊)の店に出張し、店が用意した寮から出勤する。都内で通用するルックスの女性以外は地方(出稼ぎ)に回す。出稼ぎには保証がある。客がつかずに売上が少なくとも、一定金額が必ず給料として支払われる。客がつき嬢の手取りが保証額が上回れば完全歩合制に切り替わる。
保証額は1日5万円が相場。勤務日数は月10日間が相場のため、客がつかずとも50万円はもらえる。但し、1日12時間待機で無休。10日間の契約をして、前半の5日間でほとんど客がつかない場合、残りの5日もただ居るだけでいられるわけではない。店側も保証金を無駄にしないよう、常勤の嬢にお茶を引かせてでも、出稼ぎの嬢に客を当てる。
保証には「トータル保証」と「日割り保証」があり、トータル保証は契約期間を満了することが保証金発生条件となっている。それに対し日割り保証は日払いで保証金が支払われる。諸々の事情に明るい嬢は、出稼ぎの日割り保証の店を選ぶ。そしてのんびりしていられる前半5日などで店を辞め、後半の客を無理にあてがわれる期間を回避する。それでも月収25万円だからコスパがよい。このような女性ばかり出稼ぎに斡旋してしまうと、寄越したスカウトの信頼も地に落ちるため、スカウトは真面目に働くよう出稼ぎ中の風俗嬢のご機嫌取りも必要になる。
風俗嬢のバック率の相場は売上の50〜60%。スカウトの収入(スカウトバック)は風俗嬢の手取りで決まり、ヘルスで嬢の手取りの15〜25%。ソープで10〜15%。これが永久バック制で、女の子が店を辞めない限り永久にスカウトに支払われる。例えば、紹介した女の子が大衆ヘルス(1本2万円)で月10日、日に3本働けば、スカウトには4万5000〜7万5000円が入る。もし、そういった子が3人いれば13万5000〜22万5000円、5人なら22万5000〜37万5000円。
スカウトする女の子の基準は「身長 - 体重が100を切るとまず売れない。110からが許容範囲」なのだという。
スカウトが会社とやり取りする場合は「Signal」というメッセージアプリを用いる。テレグラムと同じく通信内容が暗号化されて安心なため。
路上における風俗店へのスカウトは、声をかけた時点で東京都迷惑防止条例違反となる。さらに、売春の仲介をしたと認められた場合、職業安定法違反または売春防止法違反ともなる。スカウトが逮捕される場合、私服警官による現行犯逮捕がほとんどで、女性警官がおとり捜査を行う場合もあるという。そのため、会社から警察に必ず言ってはいけないこと(容疑を迷惑防止条例違反に留めるためと、会社を守るため)を覚え、現行犯逮捕された時に喋るストーリーも、事前に暗記しておかなければならないという。