dellblorin日記

袖擦り合うも他生の縁

QRコード決済は普及しないで終わるだろう

スマホでQRコード決済

QRコード決済は普及さえしていないのに戦国時代といえる。従来のクレジットカードや電子マネーは随分前からあるが普及は今ひとつだ。ではコード決済は今後普及するだろうか。私は普及しないと考えている。

まず、コード決済は消費者から見ると使い勝手が悪い。決済時にスマホのアプリを起動し、画面のQRコードを読み込んでもらう、または店頭のQRコードをカメラで読み込む必要がある。これは接触型決済の触れて1秒と比べて明らかに面倒だ。

電子マネーは全国的に普及したとは言えないが、都市圏では普及している。都市圏の市民が新たに利便性の劣るコード決済を使い出すとは思えない。

クレジットカードや電子マネーの普及が今ひとつだったのは、小規模事業者が導入しなかったからだ。1つが専用端末など導入コストの高さ、2つが決済手数料の高さ、3つが売上が資金化されるまで時間がかかることだ。小規模事業者の多くは限られた資金でやりくりしている。今日の売上金が明日の運転資金という一種の自転車操業であることも多い。

コード決済は上記3つの問題を解決できるだろうか。

まず、コード決済は導入コストが安い、誰もが持つスマホを活用するため、店舗側はQRコードを張り出す程度で済む。さらにサービス事業者は決済手数料で儲けるのではなく、収集したビッグデータを活用して儲けようとしているため、手数料は他の決済と比べて安い(業者によっては無料)。

コード決済事業者には銀行を持つ楽天なども参加している。楽天はコード決済の売上を翌日に口座に反映させる方針をとっており、迅速な現金化を求める小規模事業者の要望にも応えている。

一見すると普及しそうだが、これらのメリットは全て現金が上だ。初期投資は安いどころか必要ないし、決済手数料は完全無料、資金化も必要無し。さらに日本はどこでもATMがあり、治安もよく偽札などのリスクも低いため現金の利便性は極めて高い。

コード決済事業者や国は大規模な還元キャンペーンを打ち、キャッシュレス決済をあと押ししている。しかし、裏を返せばそこまでやらないと現金の利便性を超えられないということだ。大きな還元が続く限り利便性が悪くてもコード決済を利用する人はいるだろうが、還元が終わればやめるはずだ。

コード決済事業者は覇権を取れればビッグデータから大きな利益が期待できる、と考えているのだろうが、本当に可能なのだろうか。今や○○ペイは数え切れないほどあり、これという本命がいない。電子マネーのようにサービス乱立が続けば、お目当ての売買データもクレジットカード、電子マネー、コード決済、さらにそれぞれの事業者で分断化し、スモールデータにしかならないだろう。

そんな状況になって、どれだけの企業がサービスを提供し続けるだろうか。そんな現れては消える決済方法を消費者が使おうと思うだろうか。キャッシュレス決済は時代の趨勢だから実現するだろうが、それがQRコード決済で達成されるとは思えない。