同人ゲームって最近は「月姫」や「ひぐらしの鳴く頃に」などのヒット作もあり、今どんな感じになってるのかなとちょっと気になりました。
ぶっちゃけ同人ゲームで食っていけるのかという事です。
同人ゲームの市場規模はこの記事では100億円位と書かれてあります。ほんとかいな、そんなにでかくなっていたのですか。
ひょっとしたらそれなりにコンスタントに作品を発表していけば、何とか生活費を稼ぐ事が出来るのだろうか、そう思い簡単に調べてみる事にしました。
調べるといっても正直これといったデータが無くさっぱりです。
同人ゲームはコミケなどに代表されるイベントでの販売がメインらしく、それ以外はサークルが直接的な注文で捌いているといった感じの様です。つまり同人誌とおんなじ感じみたいですね。
しかしそれだと他者にはどれ位の売り上げがあるかは分からないんですよ。聞いて答えてくれるはずもないですしね。
そこで同人ゲームの販売経路の一つである「ダウンロード販売」で考えてみる事にしました。
ダウンロード販売というのはネット上のサイトから注文を受け付け、同人ゲームのデータをダウンロードしてもらい料金を取るという形態です。
個人的に「PayPal」といった決済システムを利用して販売している方もいる様ですが、ほとんどの同人ゲーム作家はダウンロード販売委託サービスを行っている大手サイトに登録し、販売を行っている様です。
有名所はいくつかあって、おおよそ
「DLsitte」
「メロンブックス」
「DiGiket」
「とらのあなダウンロードストア」
この辺が大手サークルが利用しているサイトの様です。
色々見た結果、ダウンロード数が明記してあるサイトは最大手の「DLsite」のみの様です。それ以外のサイトはソフトがどれ位売れたのかは書いてないです。
という事で、取り合えずDLsiteの情報を参考に調べてみました。対象はDLsiteで販売された非エロ、つまり一般向け同人ゲームの全てです。
全部で115本のゲームが登録されていました。カテゴリを間違えていたり、どう見てもゲームと呼べない作品は勝手に除外しました。他にもそんなソフトはあったのですが、サンプル画像がなかったり体験版がなかったりで分からずそのまま含めている物もあります。
DLsiteはある程度細かく条件を付けて検索出来るのですが、特定の期間でのダウンロード数を指定する事が出来ません。ですので2009年5月に調べている時点で2009年前半分の売り上げも足されてしまうのですが、こればかりはしょうがありませんでした。
しかし随分古いデータも見て見たところ、もっと後に販売されているソフトにあっさりダウンロード数が越されているので、同人ゲームというのは商業ゲームと同じで、販売されてから1〜2ヶ月位で全部売り切っているんじゃないでしょうか。その後はほとんど売れていないのでは?と思います。何となくそう思っただけなので当てにはなりませんが。
ではまず発売された一般向け同人ゲームの"全体の総売り上げ"、"平均販売価格"、"平均DL数"、"平均利益"、"パロディ率"、"体験版率"です。
全体の総売り上げ 12,690,930円
平均販売価格 1,055円
平均DL数 約86本
平均売り上げ 110,356円
DLsiteでは販売価格を決められた価格から指定します。その価格によって取られる手数料が違い、平均販売価格に最も近い1,000円だと引かれる手数料は400円で4割という事になりますので、製作者に入る金額は110356×0.6=「66,214円」となります。
パロディ率 約10%(パロディと思った物を勝手に数えてます)
体験版率 約66%
という結果が出ました。
ほとんど既存作品を元にした2次創作が無かったのが以外でした。それと面白い事に売れている同人ゲームの方が販売価格は高かったです。同人ゲームは相場が500円前後位かなと思っていたので驚きました。安すぎるとユーザーが品質に対し警戒するのでしょうか。
次にジャンルの統計です。
見て分かる通り「ADV」がダントツで多いです。
調べる前からそうだろうと思っていましたが、やっぱりそうでした。
ネット上のフリーウェアで作られた物も多く、制作の敷居が低いというのが理由ではないかと思います。
ちなみにジャンル分けは私が独断と偏見で行いました。一体何と言うジャンルに分ければいいいんだという物もあり、私自身始めて見たジャンル名が生まれてしまいました。
ジャンル別総DL数と平均DL数
ジャンル別の総売り上げと平均売り上げ
突出しているのは名の知れたサークルさんの物ですね。そういう意味ではこれから作って参入したいという方には参考にならないと思います。
そもそもADV以外のジャンルのゲームがあまりにも少ないため、ADV以外は全く参考になっていません。まともに比較出来ないんです。片手で数えられるジャンルばかりでして。
そのジャンルの総数が少なすぎて、一部のソフトがよく売れているだけなのに、ジャンル全体が売れている様な錯覚を感じますがそういったものを除外すると、一番感触の良さそうなジャンルは「ADV」である、というのが結論だと思います。
DLsiteで見る同人ゲームの傾向
まず販売好調なソフトの共通の特徴として
- グラフィックが凝っている
- 萌えの要素が間違いなくある
- ストーリーが凝っている
- やり込み要素もあるとよし
- 体験版がある
日本の同人ゲーム購買層の特徴
- プログラミングスキルやレベルは評価項目にならない
- グラフィックは下手か上手かではなく、萌えるか萌えないかで評価する
- パロディは一般向け同人ではあまり売り上げに影響しない
とこんな感じです。
ゲームらしさみたいなものはほとんど考慮されておらず、求めているものはゲーム性よりもストーリー性と魅力的な絵であるという感じですね。3D系のゲームもいくつかありましたが、ほとんど売れていませんでした。
そしてなりよりDL数の多いソフトは何だかんだで「萌え」的要素がありました。萌えを全面に出している分けではありませんが、絵柄などは明らかな萌え路線です。やはり萌えは最重要要素と言えるでしょう。
同人ゲームを販売すると大体どうなるか
調べた結果、最も売れそうなモデルはこんな感じだと思います。
現在のDLsiteで一般向け同人ゲーム販売を考えた場合、
選択すべきジャンルは ”ADV”
選択すべき価格は ”1,000円”
およそ一年間での予想売り上げ本数は”83本”であり、売り上げは”1000×83×0.6=49,800円”である。
という事になります。
とても食っていけるとは思えません。今回は一般向けの同人ゲームのみを対象にしましたが、同人ゲームで最も売れるのはやはり18禁ゲームでしょう。18禁ゲームをざっと見た限り一般向け同人ゲーム最大売り上げが2102DL、18禁ゲームのトップは9444DLで4.5倍、何となく見た感じ平均販売価格も2,000〜2,500円位なので、稼ぐ事が目的なら間違いなく18禁ゲームを選ぶべきかも知れません。
しかし18禁ゲームはアダルトメーカーがかなりタイトルを出しているので、完全なアマチュアが太刀打ち出来るかは分かりませんね。販売本数も1500本を超えているので競争も激しいと思います。調べていないので何とも言えませんが。
今回の調査は単に同人ゲームのダウンロード販売という限定した販売方法で、DLsiteという一つのサイトのみの結果なので実際はもっと稼げるのだと思います。
他のサイトにも登録していれば売り上げは上がるでしょう。事実ほとんどのサークルさんが複数サイトで販売していました。
しかしダウンロード販売最大手のDLsiteでの売り上げよりは当然落ちるでしょう、せいぜい5分の1位なのではないでしょうか、単なる勘ですが。
最初に言った様に、同人ゲームはコミケなどの同人系イベントで販売し稼ぐのが一般的の様で、大手サークルさんなどはコミケでMAX6000本位売るとどこかに書いてありました。そう考えるとダウンロード販売は同人ゲーム販売の端っこの商売なのでしょう。
とはいえ結論としては、同人ゲームで食っていくというのは、これからやろうとしている人にとって果てしなく遠い夢、こんな感じです。
最後に
今回のは私がテキトーに調べたものですので、あんまり当てにしないで下さい。