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袖擦り合うも他生の縁

5G 次世代通信規格の可能性 読書メモ

5G 次世代移動通信規格の可能性 (岩波新書)

5G 次世代移動通信規格の可能性 (岩波新書)


5G 次世代通信規格の可能性を読み、気になった所をメモ。

5Gの周波数帯は3種類ある
  • ハイバンド(24GHz帯以上)
  • ミッドバンド(1~6GHz帯)
  • ローバンド(1GHz帯)

所謂、5G凄い(2時間の映画を3秒でダウンロード)と言われる帯域はハイバンド。日本は外国と比べて5Gの取り組みが遅れているわけではない。比較によく挙げられる韓国の5Gはミッドバンド(今の所)。5Gは従来より密に基地局を作る必要があり、基地局は有線の光回線で接続される。日本の光回線敷設率は外国と比べて格段に高い。

日本が世界初に拘らなかったのは3Gで失敗した経験から。どこよりも早くサービスを導入した結果、世界が追いついてこず。初期の機器の不具合にも悩まされた。

5年後のエリアカバー率

通信4社の5年後のエリアカバー率は、

ドコモかKDDを選べば、どこに住んでいても5年後には5Gを使えることになる。

自動車業界にゲームチェンジの可能性

5Gではよく取り沙汰されるのが自動運転。自動運転が本格的に実用化されれば車は汎用品化する。自動運転の頭脳とサービス(付加価値)の大半が遠隔側に移り、車体に残るのは自動ブレーキや安全機能のみとなるからだ。結果、車の生産技術が低下し新たなプレイヤーが参入する。事実、最近はソニーなど家電メーカーが自動車を発表している。自動運転車時代は開発コストが一気に下がり、車内で過ごす体験コンテンツで勝負する時代になる。

作業現場の無人

建設、土木現場でショベルカーなどが遠隔操作されるようになる。人間が直接入るには危険な場所も作業しやすくなり、労働力不足解消の切り札としても期待されている。

工場の製造ラインの無線化

従来の製造ラインは一つの製品を大量生産するのに最適化されていた。これは主にケーブル類がネックとなり製造ラインのレイアウトに柔軟性がなかったため。工場内の機械が5Gで繋がることでケーブルレス化できる。製造ラインを動的に変更可能になりオーダーメイドや小ロットの商品生産が可能になる。

中国の目指すデジタル・シルクロード

海底ケーブルは情報機関にとって格好の情報収集の的。エドワード・スノーデンが海底ケーブルと接続される地点でアップ・ストリームと呼ばれる通信監視工作をアメリカが行っていたことを暴露。通信ネットワークを支配した国が事実上、地球のデータ流通を牛耳る。

中国は海底ケーブルを5Gと同じく重要視しており、デジタル・シルクロードを築きサイバー空間の覇権を握ろうとしている。アメリカはこれに強い懸念を抱いている。

6Gの概要

6Gの実用化は2030年頃。世界中が6Gの研究開発を始めようとしている。中国は世界最先端を目指している。NTTドコモはIOWN(アイオン)と呼ぶ6Gのネットワーク構想を発表。すでに100ギガビット/秒超の伝送に成功している。

6Gの明確な定義はまだない。人々の通信の進歩に対する要求に際限はない。