dellblorin日記

袖擦り合うも他生の縁

最近のバラエティー番組がつまらないと言われる理由

最近のテレビはつまらない、これはネットでよく見掛ける意見です。これについてちょっと考えてみました。それは、

  • 本当に最近のテレビはつまらないのか?
  • つまらないとしたらなぜつまらなくなったのか?

です。

ユーチューブのランキングを見ると今だに上位はテレビ番組が独占しています。本当にテレビが全く見るに値しなくなったのならこういう状況にはならないと思います。以前よりつまらなくなったという事はあっても、言われているほどテレビ離れなんて起きていないという事だと思います。ネット上でやたらと最近のテレビはつまらない昔は良かったという意見が聞かれるのは、流行り物にしたり顔をすると違いの分かる知的な人と勘違いされるのと一緒で、自分が選民意識を感じるためにそう言っているのだと思います。

それでもこれだけ言われると言う事は、言われているほどテレビは駄目ではないものの依然と比べれば衰えたという事でしょう。こういった事を踏まえてなぜそうなったのかを考えてみると以下の理由が思い付きました。

1 人間は思春期に体験した事を最も良い物と思いがちである
人間というのはおよそ中学生位の頃に体験した事、物を最上と感じる癖があります。そういった癖によって必要以上に過去の番組が美化され、また現在の番組が貶められているという事も言えるでしょう。

2 面白かった番組しか覚えていない
人間の記憶というのは適当なものです。面白かった番組は印象深いので良く覚えていますが、つまらなかった番組はすぐに忘れてしまうでしょう。結果昔の番組は粒ぞろいの面白い番組だらけだった、という錯覚が生じているという可能性です。

3 加齢により好みが変わった
人間誰しもそうですが、年を取れば好み感性が変化するものです。今の番組と昔の番組が同じタイプ、例えば若者向けに作られ違いなどなかったとしても、見ている方は変化しているのですから同じ物でも感想は変わります。A食堂が出しているこってりラーメンは30年前も今も全く味が変わっていなくとも、食べる側が30年も年を取っていれば食べた感想は30年前とは違うのではないでしょうか。

4 規制が厳しくなり過ぎている
現在は昔と比べてテレビに対する規制は強くなったでしょう。私が子供の頃はバカ殿様はおっぱいだらけだった様な気がしますが、今のバカ殿様は全くおっぱいは出てきません。いずれはバカという言葉自体規制対象になってしまうかも知れません。
作り手がどんなに優秀で面白い物を創造する力を持っていたとしても、それを妨害されたり禁止されたりすれば意味はありません。確かにテレビ番組は昔と比べて面白くなくなった、しかしそれは作り手の怠慢ではないとすれば文句を言うのはお門違い、という事かも知れません。

5 大人数で一つの番組を構成してしまうので、カメラの前で手を抜く癖がつく
今のテレビ番組は大勢のお笑い芸人をひな壇に座らせて、最近合った面白い話をさせるというものが非常に多いと感じます。色々な小道具や何日もかかる番組作りよりもこちらの方が儲かるのでしょう。しかしこの手の番組が多くなった事で、芸人に手を抜く癖が付いているのではないか?と感じます。

例えば重い物を3人で持っていれば一人でも力を抜くとガクッと落ちてしまい皆力を入れて持つでしょうが、これが30人になった場合は必ず1人位は力を抜いてただ手を当てているだけの人間が出てくるでしょう。最近のバラエティー番組の様に1番組に10人も20人も出演するとなると、ずっと自分が撮られている分けでもないし、他の人間達が何とかしてくれるだろうと考えてカメラで撮影されている状況で手を抜く癖がお笑い芸人に付いてしまったのではないでしょうか。そしてその中でちょっと売れた人が出てきて深夜辺りに冠番組を持ち、出演者はその漫才コンビだけもしくはゲストと3人だけという状況になった時、今まで何十人もいる時には出てこなかった手抜き感が画面にてきめんに現れるという結果になるのではないでしょうか。

6 大人数で一つの番組を構成してしまうので、つまらない場合視聴率が低い場合の責任の所在が判然としない
六つ目の理由は五つ目と同じ様に1番組の出演者が多い事によって、誰がつまらなく誰が面白かったのかという事が分かり辛くなっている点です。
番組が高視聴率でも低視聴率でも、これだけ出演者が多いと誰のおかげでそうなったのかは制作陣には分かり辛く、結果本当に面白い人間が尊重されなかったり、本当はさっさと首を切られるべきつまらない人間がずっと出演し続ける事になります。こうなれば当然面白い番組など出来るはずもありません。
出演者過多により制作サイドが本当に起用すべき人材の見極めが出来なくなり、結果ゾンビ芸人がウロウロする番組が増産されてしまったという事でしょう。

7 目の前にいるのが笑い屋
昔は笑い屋と呼ばれるここぞというポイントで大笑いをする人達(主におばさん)がいました。しかし段々とそれは無くなっていき本物のお客さんで勝負する様になっていったのです。しかし、最近のテレビ番組で観覧席を写すと、大抵若い女性ばかりだが映ります。普通は老若男女がいるのが普通かなと思いますがそうではありません。恐らく若い女性は”笑いの沸点が低く容易に大きく笑いやすいから”だと思います。結果厳しく見てしまう男性や、世代間ギャップがあり笑わせ難い(TVに出るのは2,30代の芸人)中高年は排除して、容易で絵になる層のみを座らせる様になったのだと思います。
この手の人達は何を言っても笑ってくれる優しい人達です。特に女性はつまらなくても周囲の空気を気にしたり、芸人が可哀想と思って無理をしてでも笑ってくれます。結果として出演者達のスキルは全く上がらないし、お情けで笑ってくれているのに本当に自分が面白くて笑わせたんだと勘違いするのです。正当な評価が行われない空間では人材は育ちません。育つのはイエスマンに囲まれて自分の価値を錯覚した勘違い人間だけです。本当の聴衆ではなく単なるしこみ相手で天狗になった自惚れ屋を見て、面白いと思う人はいないという事です。
ちなみに最近はADが腕をぐるぐる回すそうです。腕をぐるぐる回してお客さんに笑ってと合図するそうです。これでは面白い人間なんて育ちませんよね。

8 出演者の高齢化によりベテランが増えた事による企画拒否
バラエティ番組を見ると昔は若手だった人間が加齢と共にベテラン且つ権力者になっています。彼らは権力を持っているわけですから強い拒否権を持っています。若手ならノーと言えない仕事でも彼らは堂々ノーと言う事が出来ます。スタッフがいくら面白い企画を考えても、それが辛い仕事で出演者であるベテランタレント達が今更そんな仕事はやりたくない、と言ってしまえば行えません。若手の頃は散々体を張った仕事や精神的にきつい仕事をしてきたのに、今では全くやらず中央のテーブルとイスに最初から最後まで座って、ただ口を動かすだけになった人は沢山います。私は彼らが面白いけれど自分が面倒でやりたくない企画を潰しているのではないか、と思っています。(ベテランの部分を芸能事務所に置き換えてもいいかもしれませんね)

9 新陳代謝が止まっている
今のテレビ番組を見ると10年前とまるで顔ぶれが変わっていない事に驚かされます。まるで新陳代謝が進んでおらず、若手と呼ばれる人間達ですら30才を超えています。新陳代謝を行わなければ老廃物だけが溜まり物事は終わりを迎えます。新しい血が入らずハングリーでもなく、ただ顔見知りと下克上の危険も感じない環境でぬくぬくとした仕事など誰が評価するでしょう。今のテレビ番組はまるで田舎の一件しかないスーパーです。開店、閉店時間は守らないし品揃えは古い時代遅れの物ばかり、ライバルなどの外的刺激が無くポケーっと何も考えずに何となく商売している。今のバラエティはそんな印象を私に与えます。


とまあこんな程度ですかね、私の頭で考えられる事は。

私個人はテレビはほとんど見なくなりました。かつてはテレビっ子だったため自分でも驚いています。天気予報すら今はネットの方が好きな時に見られて早いため、よくある「テレビは天気予報しか見ない」という言葉も使えないほど見なくなりました。私個人がテレビを見なくなった理由は3つあります。
一つ目は「見ても面白くないから」ではなく「見ると不愉快になるから」です。9の所為なのかどうか知りませんが、最近のテレビ出演者は手を抜いていてダラダラダラダラしています。どうせお前らはこの程度でも笑うんだろ、そんなに本気にならなくたってこの位で満足するんだろ、そんな出演者たちの視聴者に対する見くびり、侮蔑を感じてしまうのです。

二つ目は”見ていると痛々しい”事です。まるでテレビの通販番組を見ている様な感じです。何もかもが決まっており全てが予定調和、本人達もそうは思っていないのに無理矢理そう思っている風に装う出来レース的な番組の流れ。凄くも無い事にわぁースゴーイ、つまらない事に猿のタンバリンを叩くオモチャの様に手を叩いて笑う。こういったものを見ていると痛々しく見るに堪えません。

三つ目は上の現状を逆手に取った”無責任番組”が多くなった事です。上の様な番組が多くなってくると私と同じ様な意見を持つ人が増えてきます。そこでテレビ局は今度は全く逆の”何でもかんでも言いたい放題”の番組を作るのです。大抵その様な番組にはよく分からない経歴の人間があてがわれて、最近合った時事などを斬りまくるのです。斬ると言えばまだ聞こえはいいが実際は事情もよく知らない部外者のくせに、適当に放言や暴言を繰り返すだけで、当然自分の発言には何の責任も取りません。この様な人間達は毒舌家と呼ばれ重用されている様ですが、彼らは狂犬病に罹った犬みたいなもので、目に付くものを見境無く噛み付くTVヤンキーでしかありません。視聴者に退屈で痛々しい番組を作っておいて、それに対する不満を利用しまた下らない番組で一儲けする、こんなマッチポンプが私は大嫌いなのです。残念なのは二つ目の番組にはネットでも批判が多いものの、三つ目の番組には意外と好意的な人が多いという現実です。これは誰かに上手い儲け話を勧められて疑わしいと思っている所へ、あの人は詐欺師だ騙されてはいけない私が言っている事が本当だよ、と一人目の詐欺師とつるんでいる二人目の詐欺師に騙される様なものです。ネットの住民も所詮その程度かと悲しい思いです。

一応テレビは地デジにするでしょうが、果たしてそれに意味があるのかどうかは疑問です。まあNHKの番組が見られるだけでもよしとしましょう、NHKの番組もつまらないですが、海外から引っ張ってきたドキュメンタリーなんかは面白いのでそれに期待しています、ITホワイトボックスなんかも。
でもこういうのってNHKオンデマンドで見られるんですかね、だとしたらやっぱり無駄かも知れないなあ。