dellblorin日記

袖擦り合うも他生の縁

ネット番組は地上波より過激であるべきという勘違い

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AbemaTVのネット番組が炎上している。

https://www.buzzfeed.com/jp/takumiharimaya/internet-television?utm_term=.stvovb8owb#.an9M0n3M6n

当の番組は見ていないが記事を読む限りかなり悪趣味な番組のようだ。最近はAmazon Primeビデオにも日本のテレビ関係者が作った番組がある。こういったネット番組を見ていつも思うのが制作者の独りよがりだ。地上波で出来なくなったことをネットでやって憂さ晴らしているだけ。最優先が視聴者ではなく制作者の鬱憤晴らしだから当然つまらない。

ネット番組はただ過激なだけの番組が多い。地上波テレビではもうできなくなった過激をネットでやる。”過激=面白い”ではないし、”TVで出来なくなったこと=面白いこと”でもない。仕組みで面白く出来ない作家は過激に逃げる。ネットでやるならTVで出来ないことを、という発想自体安直だ。それはネットの特性に振り回されている。

そもそもネットは地上波より自由なのか? 地上波は放送コードやBPOなど監視の目があり、セーフorアウトの線引きが存在するがネットにはない。サッカーでいえばタッチラインが引かれていないのと同じだから、ボールがラインを割ったかどうかは審判の胸三寸だ。ライン上のギリギリのプレイなどできるはずもなく、選手は安全のためより手前に手前にとプレイするだろう。

ネット番組の審判はネットユーザーという気まぐれな視聴者であり、明確な基準のない分、燃え上がるときは青天井に燃え上がる。何でもOKに見えて、実は地上波よりネットの方が安全地帯は狭いのだ。

ネット番組は所詮制作側からすれば都落ちだろう。地上波で通用しなかった二線級のプレイヤーがネットに流れてきて番組を作る。そもそも制作能力が低いからネットといえば過激、ネットといえば地上波より自由とばかりにただ過激なだけ、ただ地上波と違うだけの番組を作り失敗する。

放送コードやコンプライアンスは視聴者からのフィードバックで形作られたものだ。テレビ視聴者とネットユーザーは同じ日本人であり、どちらか一方しか見ないという極端な人は少ない。地上波で受けないことがネットだとなぜか受けるなどあり得ない。

テレビがつまらなくなったのは過剰コンプライアンスの所為ではない。テレビマンが面白いと思う内容が作れなくなった所為ではない。彼らが面白いと思っているものが、大学サークルの飲み会のような内容が受けなくなっただけだ。

テレビマンは高収入でノリがバブルのままだが、世間は長い不況に喘いでいる。彼らはネカフェ難民や低収入のシングルマザーが、1年後の生活を想像できない人達が、チャラい飲み会番組を見て笑えるか真剣に考えるべきだ。