dellblorin日記

袖擦り合うも他生の縁

野次る権利より安い政治家の命

安倍元総理がテロリストによって殺害された。多くの人は政治家が殺されるなんて昔の話であり、犬養毅暗殺事件以来だと思うかも知れない。だが、振り返れば2002年に民主党議員だった石井紘基衆院議員が自宅前で刺し殺される事件があったし、2007年には長崎市伊藤一長市長が選挙中に銃撃されて死亡している。ほんの20年の間に日本では政治家殺害が2件も起きているのだ。

2019年に以下の裁判があった。

北海道警のヤジ排除「表現の自由侵害」  道に賠償命令 札幌地裁

札幌市で演説中の安倍晋三総理(当時)に近づき野次を飛ばした男女が、警備担当の警察に排除されたのを不服として訴えた裁判だ。この地裁裁判官は男女の訴えを認め、警察官の行為を表現の自由を侵害しており違法と認定した。

この判決は警備担当者に萎縮効果をもたらしたろう。はっきり違法と認定されたのだから聴衆が近寄ってきても迂闊に排除は出来ない。前述したが、日本は今以て政治家が暴漢に殺害される国である。ここ最近の事例を見てもそれは分かるのに、なぜこんな判決が出たのだろうか。結局、全ての人が平和ボケしていたのだ。

国会を見ても分かるが野次なんて議論を深めたりしない。他人の演説を妨害し気に入らない人間から主張の機会を奪う。相手の主張が気に入らないのなら野次ではなく投票で示せばいい。野次による最大の被害者は各候補者の主張を聞き、投票によって賛否を示す機会を妨害されるまともな有権者である。