dellblorin日記

袖擦り合うも他生の縁

ほとんどの食べ物は天然より養殖が美味しい

鰻の稚魚が捕れず、スーパーなどの鰻の蒲焼きが高騰(以前見た時は1,680円)していると話題になっています。アメリカは自然保護団体からの圧力で、鰻をワシントン条約で規制するかも知れないとの事。このニュースを聞きながら、私は以前から思っていた疑問がまた頭に浮かびました。なぜ鰻は天然物の方が美味しいとされているのだろうかと。

鰻に限らず天然物の方が養殖よりも優れている、としているものは他にも結構あります(特に魚類)。しかし、豚や牛では天然の肉よりも養殖の肉、トウキョウXや松阪牛の方が人気があります。理由は単純で肉も柔らかく臭みも無い、つまり美味しいからです。これは考えてみれば当たり前です。養殖は人間の味覚に合わせて品種改良された品種が使われているわけですから、今までの努力の結果から美味しくなっているのです。

それと比べて野生(天然)の牛の肉は不味いでしょう。食べた事はありませんが、当然肉も固く臭いはずです。人間は自分達の好みに合わせて品種改良を重ねてきました、それは食材に留まらず花や犬などでもそうです。それは野生の物がそのままでは好みに合わなかったからです。

生物は子孫を残すために生きているわけですから、死を何より恐れます。美味しかったりしたら狙われやすくなり理屈に合いません。常識的に考えれば不味く進化しているでしょうし、出来るだけ食べられない工夫を色々な生物にも見て取る事が出来ます。それなのにどうして物によっては天然物が珍重されるのでしょうか。

世の中を見ると天然物信仰とその信者達があちらこちらに存在します。しかし、それらはほとんどが実態の無いブランドであり、かつてバブル期に日本人が品質が高く値段も安い国内品を買わず、品質が悪く値段が高い海外製品を買っていたのと重なって見えます。希少価値という言葉がありますが、値段が高いからといってそれが味を表しているとは限らない。牛も鰻も天然物より養殖物が一番美味しいのです。